こんにちは。
飯田橋のカウンセリングオフィス、サードプレイスのナカヤマです。
怒り、という感情はセラピーの中でも話題になることが多い感情です。
それは、怒りというものは、強く感じすぎて本人が苦痛に感じたり、周りも困ったり、逆に、感じなさすぎて最初はそれでよかったけど、いつのまにかそれが困ったことになっているもので、丁度良く、適切に怒りを感じるっていうのが難しいものであるからでしょう、
また、扱いに困るってことにかけても他の追随を許さないところがあります。
怒りも自然な感情の一つなので、他の感情、喜びや悲しみと同じように、そこにとどまってしっかりとそれを感じていれば、通常は一時間程度で和らいでくるものです。電車で足を踏まれてイラッとしても、オフィスのデスクにつく一時間後までその怒りを抱えていられる人はそうそういません。
でも、怒りに悩む多くの人は「一時間なんてとんでもない、もう1日中(もしくは、この1週間というもの、1年の間、10年間も!)怒りっぱなしですよ」と訴えます。
怒りという感情は一見、わかりやすいものです。
怒りの表現型の多くはなんというか、あからさまというか、明らかにみえるものです。かすかな表情でそうとわかることも少なくありません。注意深くみると、その人の瞳孔が開いていたり(そうするといわゆる「目が据わった」ような感じになります)、上唇に力が入ってめくれかかったりしている様子(トランプ大統領お得意の表情)が見て取れます。
その他、血走った眼だったり、紅潮した顔だったり(反対に青ざめる人もいます。こっちのほうが怖いかもしれません)、大声になったり、早口になったり、全身に力が入ったり(入りすぎてブルブルすることもあります。武者震いってやつです)しています。
どんな表現であっても、その怒りがいわゆる純粋な怒り(一次的感情としての怒り、と呼ばれています)だった場合、やっぱり1時間かそこらでなだめられてしまいます。
でも、もしその怒りがいろんなものが貼りついた複雑な怒り(二次的感情としての怒り、と呼ばれています)だった場合、長く続く(10年とかの積年の)怒り、恨みになるようです。
貼りついたいろんなもの、とは、例えば、怒りをキープさせるための考えです。
「なんでこんな目に?!」「許しておけない」「世間は不公平だ!」「自分はなんて情けない奴だ」「あいつのせいだ!」「またこんな目にあった」みたいな考えは、怒りをさらにかき立てます。
電車で足を踏まれて、「なんでこんな目に?!」「なんで(相手は)ハイヒールなんて履いたんだ?!」「東京の通勤ラッシュは異常だ、ひいてはこの社会システムが間違っている!」「あと死ぬまでに何度足を踏まれないといけない人生なんだろう?!」などと考えているとオフィスのデスクまでの時間ではとても足りません。
またこれらの考えは、怒りとは別の感情、傷つきや悲哀感、無力感を生み出し、これらのネガティブな感情は怒りに貼りついて、その結果、怒りはこじれて大きくなったようにみえるのです。
このように複雑な「二次的感情としての怒り」は、自然に出てきて自然におさまるはずだった怒りの炎に、燃料や薪をくべて、キャンプファイヤー状態にして焚き上げているようなものです。
大きく夜空に燃え盛っている炎をどうやって鎮火にまでもっていくのか、小学生の時に行った林間学校で教えてもらったことを思い出してみてください(林間学校に行ったことのない人は想像してみて下さい)。
当然、自分で燃料や薪を夢中になってポイポイくべている間は、その炎は消えません。
まずは鎮火させよう、という意思が大切です。その上で、自分のやっていたことに注意を向けて、燃料や薪をくべるのは控えてみてください。そして、しばらくその火が弱まってきたり、またなにかの加減で盛り返してきたりするその有様をじっと見つめて観察します。
炎を見つめるのに飽きてきたら、火の周りでマイムマイムなんかを踊って気分をリフレッシュすることもお勧めします。
時間がたつと火が弱まって熾火状態になると思いますが、この時も気を付けて燃料や薪をくべないように耐えてください。むしろ熾火でマシュマロなんか焼いたりするといいと思います。
こういうふうに怒りの手当てをするとき、そばにいるセラピストは何にもしてくれないじゃないかと指摘されることもあります。実際、怒りを鎮めたり、和らげたりできるのはその人自身に他なりません。私が伝えられるのは、その人が自分を静かに観察して、薪をくべるのをやめれば、感情が本来的にもつ自然の力もそのコントロールに力を貸してくれるよってことです。
勿論、マイムマイムの振付を教えたり、一緒に踊ったり、マシュマロの味見をさせてもらうことでも活躍したいなって思ってます。
●感情調整についてもっと☞【STAIR】感情調整は感情の役割を知ることからはじまります
●逆に感情が出ない☞【感情調整】感情が出すぎる人ではなく、出ない人の話です
●怒りのコントロールについて☞【タイムアウト】感情のコントロールについて【いつものパターンになっていませんか?】
老和尚ならこうします☞【老和尚と鬼】怒りのコントロール、アンガーマネージメントともいいます
ではまた!