こんにちは。
飯田橋のカウンセリングルーム、サードプレイスのナカヤマミチです。
日本の自動車メーカートヨタの生産方式は、今や世界中で知られ、研究されている「モノのつくり方」なようです。
その生産の効率化や品質向上の柱ともなっているのが「ムダ」を見つけ出すことで、これを徹底的にカイゼンしていくことが重要な取り組みの一つとされています。
このようなモノづくりにかかわる作業を高度に洗練し、磨きぬいてきた結果、トヨタのカイゼンの概念や方法論は自動車の生産にとどまらず、広く他の業種の効率化やサービスの向上に役立っています。
トヨタのカイゼンに代表されるような、問題点を洗い出してそれを直していく、という素朴な方法は実は、私たちが子どもの頃から慣れ親しんでいることでもあります。
私たちは、子どもの頃から学校や家庭では成績や生活態度について、改善すべきところについて指摘をうけ(もっと民主的な学校や家庭では「話し合い」の形がとられることもありますが)、それを次回の試験などへ生かしていくことで、ひいてはよりよい人生が送れるよう、日々薫陶を受けていたのではないでしょうか。
そのかいあってか、日常の生活の中でも私たちは「なにがいけなかったのかな」と考えて、「よし、次はこうしよう」と過去の反省を将来に反映させて、現状を少しづつ改善していくやり方が板についたものになっています。
このような日々の取り組みはとても大切なことです。それに私たちはなにか問題があっても、それに気が付き、うまく改善していくことが出来たらそこに喜びを感じることができます。
一方で、私たちがどうしようもなく落ち込んでいたり、ショックを受けているときはこのカイゼン方式が上手くいかないことがあります。
喪失や病気、トラウマなどの、私たちの力がなかなか及ばない困難に際したとき、過去の反省を将来に生かすという作業は大変に難しくなるし、時にはそれ自体がさらなる重荷になることも少なくありません。
このような時にこのカイゼン方式に拘泥して過去の反省を続けても(それはしばしば、自分を過剰に責めたてたり、繰り返し後悔するような形になるのですが)、改善できそうな側面が見つからず、むしろ自責感に圧倒されて、一層、将来への大きな不安や悲嘆に変わってしまいます。
すなわち私たちは過去への悔恨と将来への絶望感の中に囚われてしまうのです。
それでは、このような悪循環(今風にいうと「負のループ」と呼ぶようですね)から抜け出すにはどのような方法が考えられるでしょうか。
それが「ソリューション・フォーカスト・アプローチ」という考え方です。
考え方、というよりもこれも実践であり、練習です。
「ソリューション・フォーカスト・アプローチ」は、今足りていないところを見つけてそれを改善していく、という未来志向のやり方とは反対に、今、できているところを見つけて、過去のプロセスを再確認する、というやり方です。
例えば、うつを患いつつも、その日たまたま公園に散歩に出かけている自分に気が付いたとしましょう。
その時に「どうしてこれができているのかなぁ」とあたらめてふりかえって考えてみます。そうすると、自然をめでる心を教えてくれた亡き祖父の存在が思い出されます。子どもの頃に家族で散歩した安らかな思い出があるかもしれません。そして今、足や身体を十分に動かせる自分にも気が付きます。
これらの気づきを当たり前、とせずに充分にありがたいことと再確認してみてください。
このような実践の日々の積み重ねで、自分の中にエネルギーが少しづつ溜まってくることがわかるでしょう。そうすると嬉しい気持ちになるし、それは次の回復へのステップへの原動力となります。
大切なのは毎日繰り返し練習してみることです。
私たちが子どものころから「カイゼン式」を何度も実践して身に付けたように、「ソリューション・フォーカスト・アプローチ」も練習すると自然なふるまいとして上達します。
実はこの方法は人生における、幸せの秘訣と呼ばれるものの一つなのですよ。
ではまた!
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