カテゴリー: ストレス

ストレス対人関係

人生の【スタンス】

こんにちは。

飯田橋にあるカウンセリング・オフィス、サードプレイスのナカヤマです。

 

のっけからなんですが、私のお気にいりの占いの一つに、

「頭の中で、四文字熟語を二つ浮かべてみて下さい」

というのがあります。

さて、みなさん、四文字熟語を二つ、思い浮かべてみて下さい。

 

思い浮かびましたか?

 

↓ ↓ ↓ ↓ ↓

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一番最初に思い浮かんだ四文字熟語は、あなたの「人生のスタンス」を表します。

 

二番目に思い浮かんだ四文字熟語は、あなたの「対人関係のスタンス」らしいです。

 

 

この占いで、私の人生のスタンスは「焼肉定食」になりました。大変残念ですが、思いついてしまったものは今さら取り消すことができません。

 

 

 

「人生のスタンス」という言葉がなんとなく受け入られるのも、私たちの人生には一つのテーマというか、通底するリズムのようなものがあることを感覚的に了解しているからでしょう。

 

では、この「人生のスタンス」はどのように形成されていくのでしょうか。

母子関係の愛着が重要とはよく言われることです。また、学校や組織などでの社会的な関わりの中での性格形成について論じられることもあります。人生の中で起きたトラウマ的出来事や、戦争や感染症などのその時代の出来事や雰囲気が影響する、という研究もあります。

実際は、それらが相互に作用しあっていると考えるのが適当でしょう。

 

 

ここでもう一つ、思い浮かべてみてください。

あなたの人生の「一番最初の記憶」です。

そこで幼いあなたは何をしていたでしょうか。どんなことを考え、感じていたでしょうか。

 

 

実は、不快だった出来事が記憶に残りやすいことは知られています。だから人生最初の記憶も、一見なんの変哲もないような記憶のように見えても、あなたの身体や気持ちのストレスと結びついているのです。

 

記憶の中であなたは、人生の最初のストレスにどのように対処していましたか。

 

何も感じないようにする、人の役に立つことをする、指をしゃぶる、観察する、耐える、笑う、泣く・・・・・。

最初の記憶の中で子どもだったあなたがしていたことが、あなたの根底にある「人生のスタンス」を反映しています。

 

それは、今のあなたの生き方や他者との関係を理解する手がかりになるとも思います。

 

 

今日の話は焼き肉定食からちょっとフロイトチックな感じになりましたね。

満足、満足。

 

 

 

●トラウマ記憶と普通の記憶☞【トラウマ記憶】いわゆるエピソード記憶との違い

 

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サードプレイスストレス

ここもまた、【サードプレイス】

こんにちは。

飯田橋のカウンセリング・オフィス、サードプレイスのナカヤマです。

 

緊急事態宣言が解除になったこともあり、久しぶりに床屋さんしてきました。

髪を切ってくれるのは、私と同い年のオオモリさんです。オオモリさんとは、もう20年近くのお付き合いになります。

オオモリさんはチョキチョキとハサミを動かしながら言いました。

「早くコロナに終息してもらわないとお店は大変ですよ」。

オオモリさんはこの日、ソーシャル・ディスタンシングのために、アシスタントさんをお休みさせて一人でお店を切り盛りしているのです。

 

「経営だって大変なんです」オオモリさんは手慣れた様子でカットを続けながら言いました。「宣言が解除になったからって、東京の感染者はそんなに減っていないし、これからだって今まで通りって訳にはいきませんよね」。こころなしか、今日のオオモリさんの頭にはアホ毛が目立っているようでした。

 

私が鏡ごしに「なかなかに油断のならない状況ですよね」と同意すると、オオモリさんもうなずいて、「ニュースでは若者の感染が増えているって批判もありますよね」と言いました。

確かにこのところ、そういう論調のニュースも増えているようです。昔から大人は「今どきの若い者はけしからん」的な批判をしたい生き物だからでしょうか。若者が集まっている映像にもっともらしい(なんだか意地悪な)コメントがつくこともあります。

 

でも、オオモリさんはチョキチョキしながらこう言いました「考えてみると、今どきの若者の人生って本当に大変だと思うんですよ」。

「311が起きて、原発は爆発するし、地球は温暖化するし、それで今度はコロナでしょ。そんなことってありますかね」。

 

確かにオオモリさんの言う通りなのです。今どきの若者にとって、人生は思わぬ試練の連続です。

 

私がそれらについてぼんやりと思いを馳せていると、オオモリさんは「私たちの若い頃なんて、本当にアホみたいに、痩せたぁいとか、目が大きくなりたぁいとか、サラサラの髪の毛になりたぁいとかそんなんばっかで、本当に、アホみたいでしたよね」と笑いました。

中学生の頃から彼氏がいたというリア充のオオモリさんと私とは比べるべくもありませんが、そう言われてみると、私の子ども時代だってまさに「アホみたい」でした。逆にいうと、アホみたいでいられるような平和な時代だったのです。

「だから」とオオモリさんは言いました「今の子どもや若者は、こんな大変な目にあっているんだから、親切にしてあげなくっちゃあ、ダメですよね。少し甘やかすくらいがちょうどいいですよ」。

 

私はオオモリさんのいう、「アホみたい」に笑いながらも、この思わぬセリフで、大人の女性の深いコンパッションに触れたような気持ちになっていました。

椅子はこの上なく座り心地が良く、オオモリさんの指先は優しく私の頭に触れていました。

 

ストレスに対処するにはいろんな方法があります。オオモリさんのように、ストレスフルな状況を共感的に理解することはその一つですが、それってなかなか難しい方法でもあるのです。

 

そうこうするうちに、マイタケのように散らかっていた私の頭は、マッシュルームのようにさっぱりしていました。

そして、私はちょっと愉快なような、あったかい気持ちのまま、「ではまた、来月」とオオモリさんと互いに手を振り合ってお店を出たのでした。

 

 

●ストレスをユーモアで対処する☞【感情調整】クリエイティブな気持ちの収め方

●ストレスと呼吸☞【トラウマと呼吸】身体を気持ちにフィードバックする

●ストレスと性行動☞【性欲】!【性欲】??

 

ではまた!

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ストレスセルフケア感情調整

閉ざされていない世界

こんにちは。

すっかり静かになった街、飯田橋にあるカウンセリング・オフィス、サードプレイスのナカヤマです。

 

「お店もなんもみーんな閉まっちゃってるから、仕事もないし、外で散歩するか、家にいて本読んでます」

と、私のMac bookの画面越しにノリコさんは言いました。

 

ノリコさんはフランスに住んでいて、絵を描いたり、モノを作ったりして生活している60代の女性です。毎年夏には日本に帰ってきてサードプレイスに立ち寄られるのですが、今年は帰国を断念し、オンライン・カウンセリングでお話しすることになったのです。

ノリコさんの住んでいるところは、私たちよりも一足早く都市封鎖の憂き目にあっています。

彼女から学べることがきっとあるに違いありません。

 

「散歩と読書は、この時間を過ごすのにいい方法ですね」と私が頷いていると、ノリコさんは、

「朝起きたらまず、ウエストポーチに万歩計を入れるの。私毎日、レッチリのBy The WayのPVに出てくるタクシードライバーみたいな恰好しているんよ」と言って立ち上がり、ポーズを決めました。

見ると、白のタンクトップにヒョウ柄のサルエルパンツみたいなゆるめのズボンをはいて、腰に小ぶりなウエストポーチをつけているノリコさんがいます。

タクシー運転手の標準的な服装というものがあるとしたら、今ノリコさんがしている、ロック・バンドのPVの中のタクシー運転手の恰好は、それから相当かけ離れているものではないでしょうか。

 

「すごい、ですね」と私が、やや言葉を失い気味に、それでもなんとか感想めいたものを押し出すと、それを賛辞と受け取ったのかノリコさんはニッコリして、

「あと、こっちの人らはみんな、カミュの『ペスト』とか読んでるよ。この作品は新型コロナにあえぐ今の状況への警鐘となり得るとか言って」と、教えてくれました。

「日本でも『ペスト』や小松左京の『復活の日』なんかがメディアで話題になっていましたよ。人の考えることは同じですね」と、私が応じると、

「警鐘て」とノリコさんは、眉間にシワよよせて、(ノリコさんなりの)憂いを含んだようなため息をついて、言いました。

「警鐘て、『ジョーズ』の人食いサメを見て、すんごい怖い思いしたからって、ビーチに行く予定をキャンセルするかっていうと、しないじゃろ。ほんで、『13日の金曜日』とかのホラームービーで、イチャイチャしよるカップルがジェイソンに最初に殺されるからって、夜のキャンプ場でのイチャイチャやめるんかっていうと、やっぱりやめられるもんではないです」

いつものノリコさんらしい物言いに、私が思わずハハハと声をあげて笑うと、ノリコさんもウケケケと面白そうに笑いました。

あったかい空気が私たちを包んだように感じました。

 

すると、ノリコさんはちょっと言葉を切って真面目な顔付きになり、こういいました「私、ケッコンすることになりました」。

 

いささか突然の話の展開にたじろいだ私が「え、え、誰と、ですか?」と間の抜けた調子で問うと、ノリコさんはなんだかカタい表情のまま「病院のセンセイをやってる人で、今大変なんですけど、毎日毎日ずーっと飽きもせず私に電話しよるから、PACS(事実婚)してもいいかなって」と答えました。

 

早口で話すノリコさんの言葉の中にある、「センセイ」の最初の「セ」についた、お国言葉のアクセントの響きに、なんとも言えぬ優しさが滲み出ているように感じました。

ようやく事態を飲み込めた私が、居ずまいを正してお祝いを伝えると、ノリコさんはフッと息を吐いて、さっきよりも柔らかい声で「ありがとう」と言い、「なんでも聞いて」と大物芸能人みたいに椅子の背にもたれました。

 

それから、ノリコさんとセンセイとの出会いの場面から親密になるまでの軌跡、ライバルの出現や、プロポーズに至るまでのやりとり、ソウルメイトについて、人生の不思議さについて、つまりは、「恋バナ」満載のセッションを終えると、ノリコさんはキラキラした少女のような笑顔で、画面の向こうからバイバイと手を振ってくれました。

 

今となっては、レッチリのタクシードライバーの格好がとてもイカして見えました。

 

そしてそれは、たとえ不自由な環境の中にいても、人の心は自由でいられると思えた瞬間でもありました。

不安に閉ざされた世界であっても、私たちの心はちゃんと生きて、動いていて、ポジティブな気持ちを表現する力があります。

 

今日も確かに、ノリコさんに学ぶことがあった日でした。

 

 

こちらもどうぞ

●ノリコさんの感情調整☞【感情調整】クリエイティブな気持ちの収め方

●ノリコさんの読書術☞【批判的読書術】

●新しい試み☞【オンライン】カウンセリング

 

ではまた!

サードプレイス

 

 

 

うつサードプレイスストレス

【マルチタスク】

こんにちは。

2月はどこにいってしまったのでしょう。

飯田橋にあるカウンセリングオフィス、サードプレイスのナカヤマです。

 

ええ、生きています。

 

今年に入ってから、論文を投稿するなどというもの慣れないことをやって、本業以外は全くまわらない状態になっていました。

実は本業でも、予約のダブルブッキングやセッションに遅刻するという大失態を引き起こしてしまいました。それでも、お待たせしてしまった患者さんの殆どは、恐縮する私を優しく慰めてくれました。本当に申し訳ない気持ちです。この場を借りて心からお詫びいたします。

ごめんなさい。

 

元々生まれ持った性質もあって、私のようにマルチタスクが苦手な人は一定数います。

知的な作業をつかさどるところは主に大脳皮質の前頭葉ですが、この辺りを「テーブル」とイメージしてみてください。そのテーブルの上に仕事を載せて、同時進行で作業したりできますが、仕事をきちんと選ばずに心のままに(ヤミクモに)載せすぎると、テーブルからはみ出して落っこちてしまいます。

また、うつ症状などの精神症状やストレスなどの外的な状況で一時的にそのテーブルが小さくなることもあります。

そうすると今まではテーブル上にちゃんと載せられていたことでも落っこちてしまうので、やっぱりミスや物忘れが多くなります。

あとは、そう、加齢でもテーブルは小さくなります。

小さくなったテーブルで多くの作業をする時は、テーブルの上にきちんと整理して物を積み上げたりすることが大切です。この積み上げスキルが年齢と共に上手になっていくのは、「良い年のとり方」といっても良いでしょう。

 

ところで、3月になって私のテーブルの上の荷物はずいぶんと片付いたと思います。

改めてどうぞ「薄味の日記」にお付き合い下さい。

 

 

それにしても、みんながやっている、音楽を聞きながら勉強するっていうアレ、どうやってやるのでしょうか。

 

では近いうちに!

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ストレス感情調整

【性欲】!【性欲】??

こんにちは。

飯田橋にあるこぢんまりとしたカウンセリングオフィス、サードプレイスのナカヤマです。

 

ストレスを感じたときの具体的な対処の方法は様々です。お風呂に入って歌を歌ったり、皇居の周りを軽くジョギングしたり、気のおけない友だちとおしゃべりしたり、サウナに入って「ととのって」みたりします。

ストレスを受けるともやもやした不快な気持ちになりますが、不快な気持ちがあっても心地のいい活動をすることでそれをうまく調整できる力が人には本来的に備わっています。それに、ストレス対処の仕方は新しく学んで増やしていくことができるものです。

 

お風呂に入って歌ったりするのは、比較的無害なストレス対処法です。一方で、深酒をしてバーの床に寝転がったり、隠れて薬を打ったり、自分の腕を切りつけたりするのも、自分の中にある苦痛な感情をなだめるために必要な、いわば松葉杖のようなものなので、これらも「悪い行為」ではありませんが、「長期的にみるとデメリットが大きい行為」であるので、だれかに助けを求めてもらいたいと願っています。

 

そんな中、ストレスが昂じると性欲も高まるので、とにかく沢山の人と性的な関係を持ちたいという人もいます。

性欲、というとなんだかもう「本能的」に聞こえるので、それに抗えない、いやむしろ抗ってはいけないような気持ちというか、ほとんど開き直りに近い気持ちになったりするものですが、不特定多数の人や危険の伴うセックスしたくなったりする「性欲」は、様々な消化できていない不快な感情と結びついている可能性が大いにあるので、その「性欲」をちょっと疑ってみるのは大事と思っています。

セックスがストレス対処法にあんまり向かないわけは、妊娠や性感染症という身体へのリスクが他のストレス解消法と比べても大きいことです。それに、相手がいることなので、その相手や周辺との思わぬ関係の浮き沈みで、気持ちをなだめるどころか、余計なもやもや感情をしょい込むことになるのがどうもうまくありません。

ストレスを性欲で晴らしがちな人は、セックス以外のセルフケアを増やす工夫をしてほしいと思います。その際に自分の「ふれあいたい欲」も満たしてあげて下さい。動物を抱っこしたり、もしパートナーがいる人なら長めに抱っこしてもらったり、お布団にくるまってぬくぬくしたり、マッサージを受けるのもよいと思います。

 

でもなによりも一番最初にしてほしいのは、自分の身体を守ることです。

是非、コンドームをつけて/つけさせてください。

女性が低用量ピルを飲むことも助けにはなりますが、性感染症も妊娠も高い確率で防げるのは最初からコンドームを着用する/させることです。

 

また、どんな時に自分の性欲が高まるか「性欲日記」をつけてみるといいですよ。日常生活の中で、仕事で疲れたときや一人ぼっちだと感じたとき、人間関係ですごいストレスを感じたときなど、人によって違いますが、なにかのきっかけがみつかります。

そのきっかけの中に、あなたが向き合い大事にしてあげるべき自分の感情が含まれているのだと思います。

 

●コンドームの具体的なつけさせ方☞【安全運転】の具体的な方法

●セルフケアについてもっと☞【「自分アプローチ」としてのセルフケア】3つのチャンネルを意識すると上手になります

●オイル浴も「ふれあい欲」を満たせますよ☞『ちつのトリセツ 劣化はとまる』ちつのケアとココロのケアの深い関係

●20年前からの #NoBagForMe ☞【ひとりムーブメント】プチフェミ的な行動の効果

 

ではまた!

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