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ピックアップ!複雑性PTSDUncategorized

【2019年最も読まれた記事】第1位【複雑性PTSD】診断がつく、ということは治療法があるということです

こんばんは。こんな時間にすいません。

飯田橋にあるカウンセリングオフィス、サードプレイスのナカヤマです。

金曜日の更新が間に合わず、今は土曜日、あと1時間で日曜日になるところです。

 

2019年で一番読まれた記事は、複雑性PTSDについて最初に書いた記事でした。

【複雑性PTSD】診断がつく、ということは治療法があるということです

実際、サードプレイスの臨床の殆どは複雑性PTSDが主訴か、もしくは避けては通れない大事な概念となっています。

 

今年は本当に忙しい一年になりました。

CBT-E(摂食障害のための認知行動療法)やNET(ナラティブエクスポージャーセラピー)がやってきました。

摂食障害学会で症例発表をし、NETはスーパーバイズを受けながら臨床がはじまっています。

刑務所でグループセラピーがはじまり、そのマニュアルの完成も間近となりました。

何よりも、個人的にはずっと塩漬けにしていた博士論文を提出することができました。

安堵しています。

というよりも真っ白に燃え尽きています。

 

年末年始はお休みして、来年の臨床の準備をしようと思っています。

来年はもっと丁寧にブログの記事とも向き合いたいと思っています。

そして、来年早々に来る女子高生たちのために、トルネード振り向きの練習をしながらお正月を過ごそうと思ってます。

 

 

 

実際お会いしているみなさま、これからお会いするかもしれないみなさま、これからもお会いしないかもしれないけどうっすらと繋がっているみなさま、みなさまにココロより感謝し、ご多幸をお祈りしています。

みなさまにとって心安らかなお正月になりますように!

 

サードプレイス

ピックアップ!複雑性PTSDSTAIR/NST

【2019年最も読まれた記事】第2位 STAIR誕生!

こんにちは。

飯田橋のカウンセリングオフィス、サードプレイスのナカヤマです。

 

2019年2番目によく読まれた記事は

【複雑性PTSD】STAIR誕生!【感情調整と対人関係のためのスキルトレーニング】

でした。

 

STAIRがフツーの認知行動療法と違うのは、いつでもどこかしら、私たちの考え方や行動様式がトラウマ的な過去とつながっていると意識されているところです。

 

特にグループでSTAIRについて学ぶとき、グループの参加者が直観的にそのことを理解できるようにたとえ話をつかうことが多々あります。

例えば、こんな話です。

 

子どもの頃に両親に愛されたという感覚がないままに育った人がいるとします。その子どもは「自分は愛されるに値しない人間だ」と思って育つのです。

その子どもも青年になって、ある女性に心を寄せるようになります。一大決心をしてその女性をデートに誘うと、彼女は応じてくれました。青年は天にも昇るような気持ちになりますが、一方でそれが信じられないような気持ちでもいます。

さてデートの当日、二人で散歩をしているときに青年の頭に「どうせ自分なんか彼女に好かれるわけがない」という考えが浮かびます。そうすると青年は挙動不審になります。彼女にそっぽを向いたままで目が合わせられないし、なにか問いかけられてもブッキラボーにしか応じられません。

青年にそんな態度をとられて、彼女はこう考えました「この人は私には興味ないんだわ」。そして悲しい気持ちになります。彼女は青年のことが好きだったのです。

そしてこの二人は二度とデートをしなくなりました。

青年は考えます「ほらやっぱり。誰も僕のことなんか好きになってくれるわけがない」。

これってどんなことが起きたのでしょうか。二人が付き合えなかったのは誰のせいですか。

 

 

私がムショでこのたとえ話をした後に、男性の受刑者のグループメンバーを見回して、「二人が付き合えなかったのは誰のせいですか」と問いかけると、みんなは口々に「本人のせいです」「自分のせいです」と答えました。

同じ質問をDVの女性を支援する女性たちのグループでしたときには、みんなは顔を見合わせてこう答えました「誰のせいでもないわよねぇ」。

 

この答えの違いについて、ジェンダーによるものなのか、加害者被害者視点によるものなのか、また面白いことにムショの人々はいつも自責的な答えを提示してくる傾向にあることも、それらを考えていくことは興味深いものですが、そのことは本題ではありません。

つまり、誰のせいかといわれれば、私の答えはいつも同じです。

 

親(養育者)のせいです。

 

ですから、親に対して怒りを感じるのは当然です。子どもに適切な養育をしてくれなかった親に対して喪失感を感じ、悲しい気持ちになるのも当然です。また、自分の親に対する恥の感情を持つこともあるでしょう。

でも今、あなたは自分についての考え方や対人関係になんとなく苦痛や不便を感じて、孤独感があっても、それを自分のせい、と思って我慢して日常を過ごしているかもしれません。

 

自分のせいではないですが(親のせいです)、これからの自分についての考え方や対人関係の持ち方などを変えていくのは、「自分の責任」であるとも思っています。

自分の責任とは、この状況を、自分が変えていくことができるってことです。

 

ちょっとやってみたいと思ったでしょうか。

 

●こちらもどうぞ

認知行動療法とはそもそも☞これもまた【認知行動療法】

ムショのグループ☞【シャバ】と【ムショ】のあいだ

 

ではまた来週!

サードプレイス

ピックアップ!複雑性PTSDSTAIR/NST

【2019年最も読まれた記事】第3位 スキルのトレーニング

こんにちは。

飯田橋のカウンセリングオフィス、サードプレイスのナカヤマです。

 

2019年に読まれた記事の中で三番目に多かったのはSTAIRについての記事でした。

【複雑性PTSD】スキルのトレーニング

 

複雑性PTSD、という用語の検索で、『薄味の日記』へたどり着く方も多く、それは自分自身の子ども時代などの虐待の影響について関心を寄せている方が少なからずいるというしるしと考えています。

子ども時代の虐待やネグレクト、マルトリートメントの影響は、複雑性PTSDに限らず、多くの研究で、統合失調症や双極性障害の発症率、アルコールなどの依存問題、自殺率などと関連があることが知られています。また、先月の摂食障害学会では摂食障害とトラウマとの関連も言及されていました。

 

複雑性PTSDの概念は、「症状は子ども時代のトラウマに由来している」というところが、理由を求めたい私たちにぴったりとくるところだと思っています。私たちは何がどうなって今こうあるのか、そうしてこれからどうなるのか、みたいなストーリーをわかっていたい生き物でもあるのです。

そして、逆境にあった子ども時代に、何を学び落としていたのかということも多くの研究の中で明らかになりつつあります。STAIR(認知行動療法で感情調整と対人関係のスキルトレーニングを行うもの)の中で、それらを学び直していくことが、トラウマからの回復に向けた最初の一歩になるでしょう。

 

STAIRはDBT(リネハンによる弁証法的行動療法。境界性人格障害の治療のための心理療法です)の子どもみたいな成り立ちなので、行動すること(スキルトレーニング)を重視しています。実際、どの心理療法でも、先の摂食障害学会で来日されたCBT-E(摂食障害のための認知行動療法)の開発者の一人であるザフラ先生も「行動することのみが認知に変容を及ぼす」と明言していたとおり、考えるだけでは不十分で、行動することが認知の変化を生むと考えています。

 

認知行動療法(C:認知B:行動T:療法の頭文字を取ってCBTと呼んでいます)は

 

 

 

とBマシマシで表記するといいかもしれません。

 

 

 

ではまた来週金曜日に!

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サードプレイスピックアップ!複雑性PTSD読書療法

【2018年 最も読まれた記事】第1位【複雑性PTSD】診断がつく、ということは治療法があるということです

こんにちは。

飯田橋のカウンセリングオフィス、サードプレイスのナカヤマです。

 

私が初めて「複雑性PTSD」という概念を知ったのは、約20年前にジュディス・ハーマンの『心的外傷と回復』を読んだときです(この本のはじめに出てくるトラウマの歴史に関する章は圧巻です。それをいうなら、この本全部が本当に圧巻です)。

ハーマンは、長い間何度も虐待などの被害の体験を受けた人々の感情や認知がネガティブな方向に変化すること、そしてその変化が社会では望ましくないもの、病理的であるとレッテルが貼られて、治療ではなく誹謗中傷や差別の対象となっていることをその著書の中で明らかにしています。

そして、トラウマの被害者がそのスティグマから解放され、きちんとしたケアや治療を受けられることを目的として提唱した診断名が「複雑性PTSD」なのです。

 

この診断名に込められた精神に私も深く賛同しつつ、2018年で最も読まれた記事をご紹介します。☞【複雑性PTSD】診断がつく、ということは治療法があるということです

 

ではまた。

サードプレイス

 

 

サードプレイスピックアップ!複雑性PTSD感情調整

【2018年 最も読まれた記事】第2位【複雑性PTSD】アダルト・チルドレンとどう違うのか

こんにちは。

飯田橋のカウンセリングオフィス、サードプレイスのナカヤマです。

 

今年2番目によく読まれた記事は、【複雑性PTSD】アダルト・チルドレンとどう違うのか

でしたが、「アダルトチルドレン」ってタイトルにつけるだけで、バババーッてPVが伸びていったあたり、斎藤学先生の影響力の大きさに(文字通り)震えた次第です。

サイトウ学派のパワーみたいなものを肌で感じてびびったからでした。

 

アダルトチルドレンは嗜癖や依存、共依存、機能不全家族などといったワードと共に語られることが多く、そのあたりの用語は一部にはとても浸透していて、あまりにも練磨されているので、それらを使うことなく自分の状況を説明することが難しくなっている人もいるほどです。

こんなふうに

「私は機能不全家族で育ったアダルトチルドレンで、現在は夫との共依存と、自分自身の摂食障害、という問題を抱えています。」

みたいな、わかる人にはわかる、わからない人には全くわからないような表現になったりします。専門用語は元来、自分を理解し他者とコミュニケーションできるために作られているものなのに、それが難しくなりつつあるのが、実はアダルトチルドレンという用語をめぐる現在の状況ではないかと感じています。

機能不全家族、という問題では、機能充分家族(もしくは「機能万全家族」でしょうか、健康食品の会社名みたいに聞こえますが)っていうのがあるかっていうと(斎藤先生自らが認めているように)そんなことはなく、アルコールや虐待の問題がなくても、多くの子どもは家族内でのストレスフルな出来事(離別や家族のメンバーの事故や病気など)に対して「いい子」でいることで対応します。子どもは子どもなりに家族を助けたい、支えたいという気持ちがあって能動的に動いたり、働きかける存在でもあるのです。

「いい子」がしている最たるものが自分自身の感情を抑えることでしょう。子どもらしい(人間らしい)感情を自分から抑制したり、余裕のない家族のメンバーから「わがままだ」などといわれることで我慢したりします。

感情を抑えたり、麻痺させたりして成長して、大人になってからもその感情の表現する場や方法がわからないままだと、なんだか心に穴が開いたような感じを覚えることがあります。アルコールやむちゃ食い、自傷行為、不特定多数との性的な関係などの嗜癖や依存は、外側から自分の感情を刺激して動かすことで、「心に穴が開いた感じ」が一瞬埋まったような感覚が得られる一つの方法です。

でも、この心に穴が開いた感じが元々は感情麻痺からきていることから考えると、自分自身の感情をきちんと取り戻すことができれば、嗜癖的な行為にさほど頼らなくても、生きている実感や地に足が付いた感覚が得られるのです。

要は感情はとっても大事、ってことで、セラピーの多くは感情を取り戻すプロセスといってもいいのではないかと思っています。

 

 

ではまた今週の金曜日に!

サードプレイス