カテゴリー: 対人関係

CARE読書療法対人関係

【CARE】子どもと関わるためのスキル、でも脱いだ靴下を洗濯機にいれない夫にも使えます

こんにちは。

飯田橋のカウンセリングオフィス、サードプレイスのナカヤマです。

 

CAREという子育てプログラムがあります。

Child-Adult Relationship Enhancement(子どもと大人の関係を強化する)の頭文字を取って名付けられました。

子どもとのよりよいコミュニケーション構築や適切なしつけのためのエビデンス・ベイスドな心理療法はいくつかあるのですが、CAREはそれらの心理療法のエッセンスをとりいれた(いいとこどり、ともいいます)したプログラムです。

CAREスキルを使うことにより、大人と子どもの関係があたたかいものになる上、子どもの自尊心や自立心が向上し、大人からの指示も気持ちよく聞いてくれることが増えるのです。

そんなすてきなCAREプログラムですが、その主な理論は行動分析学です。したがって基本的にCAREスキルは子どもが望ましい行動をしたらきちんとほめて、その行動を定着させ、増やすという行動分析学にかなった方法をとっています。子育てスキルには子どもの発達年齢に応じたものが多いですが、(例えば幼児さん向け、とかティーンエイジャー向け、とかです)CAREにはその枠がほとんどなく、小さな子どもから大きな子まで使えます。それは、このプログラムで使われているスキルや設定が非常にベーシックなために汎用性が高い、ということなのでしょう。

汎用性、ということでつらつら考えていくと、自立していなくて、人をイラッとさせる行動(望ましくない行動)をとっているのは、なにも子どもに限ったことではないのです。

対人関係での悩みとなりやすいのは、配偶者です。

多くの夫婦が性格の不一致(これも本当の理由ではないことも多いのですが)で離婚の憂き目にあっています。

例えば、ある朝の風景です。

朝起きてリビングに入ると、ソファーにだらしなく座った夫がテレビを眺めています。夫が前日に脱いだ靴下が裏返しのまま床に落ちています。「おいごはんはまだか」と起きてきたばかりのあなたに声をかけますが、昨夜も今朝もまだ歯を磨いていないのか、顔をそむけたくなるような口臭がします。夫はあなたの不快感に気づきもしないで、自分は何一つ動きもせず、ただ座って朝食を待っています。

こんな朝を過ごしていたら、配偶者に殺意さえ覚えても不思議ではありません。こういうことが積もり積もってある日お別れ、となるのです。

 

でもこの朝が以下のように変わったらどうでしょうか。CAREなどの行動分析学のスキルを配偶者に使い続けたらこんな風になるかもしれません。

朝起きてリビングに入ると、もう自分の朝のしたくを終えてこざっぱりした様子の夫がソファーに座ってテレビを眺めています。あなたが寝ている間に、洗濯機を回してくれたようで、洗濯機から脱水の音が聞こえています。「朝ごはん一緒にたべよう」と起きてきたばかりのあなたに声をかけ、食器をテーブルに並べはじめます。あなたが目玉焼きを焼いている間に夫がトースターに入れてくれたパンがいい匂いをしはじめました。

実際は配偶者の性格や特技によってバージョンは変わりますが(例えば掃除をしてくれたり、朝食を作ってくれたり、またはなにもできなくてもあなたにやさしい言葉をかけてくれる、とかです)、大事なのはCAREに代表されるようなごくごくベーシックなスキルを上手に使いつづけることで相手に大きな変化をもたらし、心地よい関係が構築できる可能性があるということです。

 

一方、気を付けたいのは、離婚の三大原因ともいわれている「浮気、ギャンブル、DV」です。これに該当する配偶者にはCAREスキルどころか何をやってもダメなことの方が多く、あなたから大切なエネルギーを奪ってしまいます。あなたの人生のために出来る限り早くこれらの配偶者を見限ることをお勧めします。

 

子どものためのCAREプログラムを配偶者に援用するなんて(いろんな方向から)お叱りを受けるかな、とも思ったのですが、添付した画像の本の著者のカレン・ブライア先生は行動分析学の第一人者で、題名は『うまくやるための強化の法則』、そしてそのサブタイトルは『飼いネコから配偶者まで』です。

上には上がいるってことです。

 

●ほめたい、育てたい、具体的にはこちらもどうぞ!☞【ほめて育てる】【人を動かす】

ではまた。

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トラウマ複雑性PTSD対人関係感情調整

【複雑性PTSD】人と違う感じ

こんにちは。

飯田橋のカウンセリングオフィス、サードプレイスのナカヤマです。

 

ある誕生日の出来事を想像してみてください。

あなたは8歳。楽しみにしていた誕生日がやってきました。誕生日は特別な雰囲気に満ちた日です。

その日の朝はワクワクして早く目が覚めてしまいました。台所に降りていくとお母さんが誕生日パーティのお料理の用意をしています。ハンバーグの種をこねたあと、手早く丸めてはリズムよくトレーの上に置いていきます。ハンバーグはあなたの大好物です。お父さんはケーキを買いに行ったようです。友だちもお昼過ぎにはやってくる予定です。どんなパーティになるんだろう、みんなでゲームしたり、美味しいもの食べたり、そしてみんながニコニコ笑顔でおめでとうっていってくれるんだろうな、と期待に胸が膨らみます。

玄関で音がしてお父さんが帰ってきたようです。お父さんの機嫌は玄関のドアを開ける音でわかります。ガチャン!大きな音がしたら、お父さんの機嫌が良くない証拠です。お父さんの顔を見ると青白くなっていて、こわばっています。目がとがった感じになっています。お父さんはお母さんに「どうしてちゃんとケーキの予約をしておかなかったんだ!順番を待たされたのはお前のせいだ」と大声で怒鳴ります。

お母さんはハッとなって「ちゃんと予約してあったはずなんだけど・・・」「それでもあそこはいつも混んでいるから・・」と言いかけますが、お父さんはバシッとお母さんの頬を叩いて「言い訳するな!」とかぶせるように怒鳴ります。そしてあなたに目を向けると「俺が外で待たされている間に何もやってなかったようだな、掃除が終わるまでなにもなしだ」と言い放ちます。

あなたはどうしようもないような気持ちになります。心臓がドキドキしています。涙が流れでてきますが、一生懸命そこにあるものを片付けはじめます。お母さんはさっきとはうって変わってのろのろと手を動かしています。お母さんはなんだかひどく年を取ったような顔をしています。

お父さんはソファーに腰を下ろすとテレビをつけ、大音量にして見はじめます。お昼近くになってもそのままです。あなたがおずおずと誕生日パーティのことを言おうとすると「まだそんなことを考えていたのか、ケーキなんかないぞ」と不機嫌そうに言います。お父さんはケーキを買ってこなかったのです。あなたがたまりかねて泣きはじめるとお父さんは怒って「そんなわがままを言うやつには誕生日の価値はない!」と怒鳴って台所にいくと、お母さんが用意した料理をすべてごみ箱の中に捨ててしまいました。

自分の部屋で気がついたら夕方になっていて、そういえば友だちは来なかったなと思いました。お母さんが断りの電話を入れたのでしょうか。自分のせいですべてが台無しになってしまったとあなたは考えますが、それはなんだか違う気もします。とても惨めな気持ちです。自分が浮かれているとこういう罰がくるんだ、とあなたは心に刻みつけました。

 

私たちは楽しい気持ちを感じても、それが裏切られるようなことが続くと、その気持ちを持つこと自体避けるようになります。

子どもの頃の虐待やネグレクト、DVの家庭などの経験は私たちにポジティブな感情を感じにくくさせます。より正確にいうとポジティブな感情を警戒して距離を置く癖がつくのです。

しかし、ポジティブな気持ちは日常生活の中で人とつながりを感じるための大切な感情です。多くの人は楽しさや嬉しさを十分に感じて分かち合うことで世界や人との間のつながりを実感しているものです。

楽しい気持ち自体を避けていると他者との感情の共有が難しくなったり、切り離されたように感じるようになるのです。

そうすると、人と違っている感じを持ったり、または、自分自身をあたかも宇宙人のようだと感じたり、大勢の仲間(例えばクラスメイトなど)の中にいるのに一人ぼっちな感じがある、そういう何とも言えないような感覚が心の中を占めるようになるのです。

その感覚はずっとあるものなのに、慣れることはありません。

 

ポジティブな気持ちを適切に感じられるようになるのも、複雑性PTSDからの回復には重要なことです。

普通の人にはなんでもない、むしろ心地がよいことであるポジティブな気持ちを感じることが難しいのは、もっともな理由があります。

誕生日での出来事のような理由です。

それを考えると、今、ポジティブな気持ちにアクセスしようとすると、恐怖や不安を感じることもあるのは、いたって当然なことでもあるのです。

少しづつ、心地よい感情を感じても大丈夫、という経験をつんでいければいいのです。

 

ではまた。

●こちらもどうぞ!☞【複雑性PTSD】診断がつく、ということは治療法があるということです

●複雑性PTSDの心理療法についてもうちょっと詳しく☞【複雑性PTSD】スキルのトレーニング

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対人関係

【人を動かす】といっても、カーネギーとはずいぶんと趣が異なる

こんにちは。

飯田橋のカウンセリングルーム、サードプレイスのナカヤマです。

 

生きていく上で私たちは相手に対して能動的に関わりを持つ必要がある状況に遭遇します。

平たくいうと、相手が自分の思うように動いてほしい時があるってことです。

 

新聞の悩み相談コーナーなんかだと、相手が自分のいうことを聞いてくれない場合、多くは自分自身が寛容になることを説かれるます。つまり「相手が自分の思い通りに動いてくれるなんてオオマチガイだ」「相手の意思を尊重しなさい」ということです。

 

でも、「子どもがいうことを聞いてくれない」「部下がいうことを聞いてくれない」という愚痴をいうとき、その言葉の底には無力感めいた気持ちがあります。日常生活の中で無力感を持ちつづけることは心の健康にいいとはいえません。

そこで、ここでは相手に働きかける方法の一つをお伝えしていきたいと思います。

人に働きかけてそれが動くとき、私たちは自己効力感というものを感じることが出来るからです。それは心の健康のためにもなるのです。

 

さて、ここで私たちの先生となる人は優秀なドックトレーナーです(画像はイルカトレーナーですが、気にしないでください)。

先生は驚くほど自然に犬にいうことを聞かせ、犬もそれに従うことに喜びを感じているようです(尻尾を振って、目をキラキラさせているところからわかります)。先生の行動をよく観察すると、シンプルな指示、とそれがが遂行されたときのご褒美、がセットになっています。ご褒美は犬の大好きなスナックだけとは限りません。「よし」と声をかけたり、撫でてあげたり、クリック音をつかったり多様なものです。

応用行動学でも明らかにされているのは、適切に指示をだしてその指示が遂行されたときにきちんとした形で認めると、動物のその行動は増える、ということです。

 

さっそく、「指示とご褒美セット」を上手に使える練習をしてみましょう。

  1. 子どもが電車でうるさく騒いでいる時に「静かにしなさい!」と注意(指示)します。子どもたちが首尾よく静かになった時に「ちゃんということ聞けてエライね!」とご褒美(具体的にほめること)をあげます。
  2. (「また遅刻してきたな、何度注意したらわかるんだ」と部下を叱責する代わりに)「定刻通りに出社してください」と指示をして、定刻通りに出社してきたら「今日は早いね、お疲れさま」と労います。

どちらのケースも指示とご褒美で望ましい行動:電車で静かにしていたり、定刻に出社すること、は増えていくのです。

 

応用編ですが、この指示とご褒美のセットを何回か重ねるとより複雑な行動もうまくできるようになります。

例えば子どもに宿題を忘れずにやってもらいたいとき。

子どもが連絡帳を見たり、机に向かったり、教科書を広げたりすることから細かく指示を出し、できた行動に対してひとつづつ具体的にほめていきます。そのうち自発的に宿題をやるときが出てきたら、その行動をすかさずほめる、という具合です。

このように人を動かすときは、実際、こちらの根気や手間、創造力(褒め言葉のバリエーションが少ないと相手は飽きてしまうのです)が必要です。最初のうちは大変と感じるかもしれませんが、練習していくうちに上手になってくるでしょう。

 

自分の指示がその相手の性格や特性に合っているのか見極めるもの大事です。

いくら優秀なドックトレーナーの先生だって、牧羊犬にサーカスの芸を教えようとしないでしょうし、トイプードルに羊の番をさせたりはしないでしょう。

 

それが人を見る目ってものです。

ではまた!

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セルフケア対人関係

【ほめて育てる】スキルを使って人をほめる。最終的には自分を上手にほめる

こんにちは。

飯田橋のカウンセリングルーム、サードプレイスのナカヤマミチです。

 

「ほめて育てる」という言葉は、ここ10年で育児書やビジネス書ですっかり定着したなという印象をもっているのですが、実際:

ほめられる→うれしいし自信がでる→意欲がでる→もっとやってみる→もっとほめられる→もっと自信がでる→・・・、みたいないい循環になるようです。

反対に、へたっぴなほめ方をすると、ほめられたほうはなんだかバカにされた感じがして、意欲低下を招く、という望ましくない効果を招きそうな要素があって、そこのところが「ほめることは難しい」という評価につながっているのではないでしょうか。

 

上手にほめるコツは「具体的にほめる」ことです。

「具体的にほめる」のは一般的に「すごいね」「かっこいいね」とほめるのとは違って、どういうところがすごいのか、かっこいいのか、観察したことを詳しく伝えてほめる方法です。例えば:

「今のプレゼンテーション、とてもイラストが鮮やかで新しいデータもたくさん入っててすばらしかったですね」(会社の同僚に)

とか

「自分でお洋服が全部着れたのかっこいいね!」(3歳の子どもに)

このようにきちんと事実に基づいてほめてもらえると、ほめられたほうは自分のことをちゃんとみて正当に評価してくれているなと実感できます。

「具体的にほめる」のは実際やってみると難しく感じられるかもしれません。このような新しいスキルが板につくようになるには、練習が必要です。

 

練習でスキルが上達してきたら、自分自身にも「この具体的にほめる」スキルを使ってください。

「今日は私早起きして、仕事を片づけた!エライ!」というのも大事ですが、

「今日はいろいろ嫌なこともあったけど耐えて今、無事にお布団に入れましたね、お疲れ様」みたいに、人知れぬ苦労も報いてあげましょう。

周りの人からは見えないいろいろな苦労が自分にはあるのです。それを知っているのは自分だけなのです。それをしっかりと労ってあげましょうね。

 

ではまた!

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