カテゴリー: 感情調整

トラウマ複雑性PTSD感情調整

【感情調整】感情が出すぎる人ではなく、出ない人の話

こんにちは。

飯田橋のカウンセリングルーム、サードプレイスのナカヤマです。

 

ほどほどに、とか中庸に、とか平凡にっていうことほど、難しいことはありません。

感情だってそうです。

出しすぎて周りから(今風にいうと)ドン引きされたり、出さなさすぎて「何考えてるかわからない」と、ある意味、いわれのないそしりを受けたり、本当に難しいのです。

怒りの感情が出すぎて悩んでいる人やそれに困っている周りの人々のために、縁側に置け、とかタイムをとれと言って一緒に練習をすることがありますが、その反対に、感情を感じないとか感じづらい、という人のためにできることもたくさんあります。

というより、セラピーの中では圧倒的にそういう人の方が多くて、みな人知れず苦しんでいます。

 

感情が出せないとか、それ以前に感じることができないというときは、それぞれにもっともな理由があります。

 

例えば、DVの被害やトラウマ体験の中、感情を文字通り殺すことで生き延びる人たちがいます。

 

また、子ども時代の育ちの過程で適切に感情を感じることが出来なかった人たちがいます。

子どもは自分自身の感情について、周囲の助けを借りながら適切に気が付いたり、表現することを学びますが、その機会が得られないと、感情体験は混乱したものになりがちです。そういったときに子どもは、感情を完全にシャットアウトするか、または慢性的に不安を抱える状態になるのです(くもり空が何となく不吉なように、感情がぼんやりしているのはなんとなく不安ってことです)。

両親の言い合いや喧嘩を見て、怒りの感情のような極端な感情の表出は危険だ、と学ぶ子どももいます。

 

そうして、トラウマ的な出来事が終わったあとや、子どもが成長して大人になってからも感情に関する、このような影響は長く続きます。

恐怖とか怒りなどの不快な感情だけが感じないのならまだましかもしれませんが、嬉しいとか楽しい、愛情といったポジティブな気持ちも感じにくくなっているのが辛いところです。人間はそんなに器用じゃないのです。

認知行動療法の一つであるSTAIRでは感情の気づき方、持ち方、表現の仕方、そして耐え方についてひとつづつ順番に学んでいくことができます。子ども時代に学ぶところを大人になってから新たに学んでいく感じです。また大人になってからのトラウマ体験のせいで一回失われてしまった感情の持ち方をもう一度学びなおすという感じでもあります。

 

辛い感情に気が付いて、それを自分で和らげたり、または耐えられるようになるのも大事なのですが、心地良い気持ちに気が付いていくプロセスはさらに大切です。

日々の生活の一つ一つに感情が伴うと、生き生きとした充実感が得られます。地に足のついた感覚、と表現する人もいます。

感情についてわかると人生についてもちょっとわかった感じになるかもしれません。つまり、人生は自分の心地よい感情が示す方向に向かっていけば間違いないのです。

それって感情が持つすごい効果だと思います。

 

ではまた。

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感情調整

【タイムアウト】感情のコントロールについて【いつものパターンになっていませんか?】

こんにちは。

飯田橋のカウンセリングルーム、サードプレイスのナカヤマです。

 

「ほめて育てる」とは言いましたが、実際、子育てって難しいものです。

頭ではこうするといいよ(またはこうしてはいけないよ)というのが十分にわかっているのに、実際にはそうできないのは、私たちの個人的な感情によるものも大きいでしょう。

特に扱いが難しいのが怒りの感情です。

 

イヤイヤ期とかterrible two とか言われる2歳から3歳の子どもを前に、腹が立ってつい叱ってしまった、カッとなってつい叩いてしまった。その後、子どもの涙で泣きぬれた寝顔をみてごめんねと申し訳なさで自分も涙する・・・こういってはなんですが、育児雑誌にある投稿の一つのパターンではないでしょうか。

こういうことって子育てでよくあることだよね、と共有しあうことで私たちは少し安心して、より良い親になろうとまた努力することができます。

でももう少し真剣な話をすると、子どもを激しく叩いたり、怒鳴ったりすることで子どもの健やかな成長が妨げられることは今では様々な研究で明らかになっています(発達に関する身体的な問題や自尊心や自己肯定感の低さなどの心理的な問題、将来うつなどの精神疾患へのなりやすさなど数々の研究でそれが知られています)。

一方で私たちの親世代は子どもをきびしく「しつける」ことは当たり前でした。親の怒りは子どもに体罰という形をとることは珍しいことではありませんでした。それからすると、私たちは自分の子どもを育てる時に「親のやり方を見習う」ことはあまりいい方法ではないのかもしれません。

 

ここでは、「カッとなってつい手が出てしまう」といういつものパターンを変えてみる一つの方法として「タイムアウト」を紹介します。

「タイムアウト」は怒りの衝動からいつものパターンになりそうになったら、その場から離れて落ち着くのを待つ、というシンプルな方法です。その方法のポイントは「怒りは30分程度で山を越える」ということを知ることにあります。

例えば楽しい、という感情について想像してみてください。お笑い番組なんかを見ていてとっても楽しくて大笑いしていても、ある山を越えると「ふー、やれやれ」という状態になりますよね。楽しい気持ちもいつかは終わるもので、どんなに望んでもこのままずっと笑い続けることはできません(残念ながら)。

人間は一つの感情をいつまでも同じ強さで持ち続けてはいられないのです。

怒りも楽しいという感情と同様に、(腹が煮えくり返りつつも)静かにそれを観察していればその山は30分程度で収まります。収まった後で子どもに必要なこと:「着替えてお昼寝しようね」「お風呂にはいろうね」「おもちゃを棚にしまってね」と比較的落ち着いて伝えることができます(そうしてそれを子どもができたら具体的にほめる:「自分でお着換えできて偉いね!」ことができます!)。

 

そしてもう一つの「子どもの寝顔に謝る」パターン、を変えるのはもっと簡単かもしれません。

子どもが起き出して、いいご機嫌が戻ってきた時に、「さっきはあなたを叩いたりしてはいけなかったのにそうしてしまってごめんね」とストレートかつ丁寧に謝ることです。

罪悪感に浸っているより、きちんと謝るほうがずっとすっきりするものです。

 

このような実践を通して私たちは、子どもが生きていく上で大切なことを伝えることができます。

怒りの感情について、人や自分を傷つけることなく自分自身できちんとコントロールできるということと、過ちがあったときはストレートに認め、謝罪する、ということを教えることができます。

それは「人を叩いてはだめだよ」とか「悪いことしたら謝りなさい」と口でいうよりもずっと効果があるってことが想像できると思います。

 

 

世の中の、子どもとかかわるすべての大人たち(私も含め)を、心から応援しています。

 

ではまた。

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セルフケア感情調整

【老和尚と鬼】怒りのコントロール、アンガーマネージメントともいいます

こんにちは。

飯田橋のカウンセリングルーム、サードプレイスのナカヤマです。

ある人から聞いたお話し。

昔々、ある山の中に大変立派なお寺がありました。

和尚さんは大層徳の高い方で、そのお寺にはたくさんのお弟子さんが集まってきていました。

お弟子さんたちはみな熱心に修行をしています。境内はチリひとつなく、本堂はピカピカでお弟子さんたちの坊主頭が映るよう、いつも読経の声が聞こえます。

ある日のこと。

和尚さんが里の用事で寺を留守にしている時のことです。

どこからきたのか、大きな鬼があらわれました。

鬼はなぜかものすごく怒っていて、開けろ開けろと寺の門の前で大きな声でわめいています。

弟子たちはこの神聖な場所に鬼なんかが入られてはかなわんと断りますが、鬼は門の外で暴れだしました。

鬼はドンドンと力任せに門をたたいて門を壊し、無理やり中に入ろうとします。

弟子たちはこれは大変、と一斉に駆けつけて、鬼を入れちゃならんとばかりに門の向こうを押し返します。

鬼はいよいよ猛り狂って門を壊し、弟子たちを蹴散らして境内に飛び込んで、金棒であたりをめちゃくちゃにしはじめます。

弟子たちも鬼に負けじと鍋やら、しゃもじ、鍬などを持ち出して、なんとか鬼を外に出そうと向かっていきます。

お寺がこんな大騒ぎになっている最中、用事を済ました和尚さんが里からかえって来ました。

和尚さんはこの様子を見て取ると、鬼に向かって穏やかに

「鬼さん鬼さん、どうされた」

「そんなところに立っていないで、縁側にでも座って、お茶でも飲んで話していかんかの」と声をかけました。

そういわれた鬼は、ゆるゆるうなづくと、縁側に腰を下ろしました。

そして、和尚さんが入れてくれたお茶を飲み、話しをして、小一時間後、ポカンとする弟子たちを後目に、もと来た道へのんびりと戻っていきました。

お話しはここで終わりです。

私たちは、大きな怒りなどのネガティブな感情を抱いた時、それに圧倒されてしまうことがあります。

怒りにまかせてなにか(ものや人との関係、または自分自身)を壊してしまうことがあります。

それは、それらの気持ちを感じること自体が苦痛だし、自分には耐えられないと感じて、(このお話しに出てきた弟子たちがやってたように)必死に心の外に追い出そうとして、かえって事態を悪くしてしまうのです。

本当は、怒りは心の縁側あたりにそっとおいて、大事にお話しを聞いてあげるようにきちんと感じてあげるほうが、気持ちが落ち着きます。

「私はこれこれこういうことで怒っているんだなぁ」と自分で自分に話してみるのです。

このお話しに出てきた老和尚は誰の心にもちゃんといます。

 

そうそう、腹が立ってる時にはお茶などを飲むといいよ、というのもこのお話しのポイントです。

ではまた。

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