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【猫かわいがり】

こんにちは。

飯田橋のカウンセリングオフィス、サードプレイスのナカヤマです。

7月は忙しくて、ほぼ記憶がないくらいだったので、8月はお休みを取って家の片づけをしたり、読書をしたりしています。

そんなわけでこの夏、『にゃんこドリル』を読んでいたのですが、この本によると、猫というのは子どもが大変苦手なようですね。

私が子どもだった頃、「子どもがいる家の猫は早死にする」と父が言って、家猫をあまりイジらないよう私をけん制していたことを思い出しました。そう言われても、私のネコに対する愛情はとめどようもなく、決してネコの寿命を短くしたいわけではなかったけれど、しつこく構っては、ネコに嫌がられていたものでした。私とネコの間にあるのは、私からの一方通行の愛情で、彼女からしてみればそれって迷惑千万なものだったでしょう。

 

ハナシはちょっと変わりますが、子どもへの愛情、という話になると、親にとっては繊細な話題となるようです。「愛情不足」という言葉は、子どもの問題行動は親の愛情の少なさに起因するものだとする考え方を示していますし、「年寄っ子は三文安」ということわざは愛情の過多に対しての先人からの警告であるようです。

親の愛情自体が疑われることもあります。虐待の報道に際して、コメンテーターは「人としての当たり前の気持ち(つまり愛情的なもの)がないのか」と憤慨したりします。でも、実際、虐待しているとみなされる親にも、子どもへの愛情がある人のほうが圧倒的に多いのです。

親の愛情の存在というものは、実に疑いようがないものの一つだと思っています。

でも、子どもが幸せに暮らしたり、成長をしていくには、親側の愛情だけでは不足で、子ども側が感じる「安心感」や「安全感」が必要です。

 

私は『にゃんこドリル』で、猫が安心安全に暮らすための知識を得ました。

同様に、子どもが安心安全に暮らすためには、愛情にプラスしての知識やスキルが必要です。もし、それを様々な理由(例えば、自分自身の子ども時代に安心安全な環境を得られなかったなど)で知らない親がいたら、だれかに教えてもらう必要があるのです。

CARE(Child-Adult Relationship Enhancement)では、子どもの言動をよく観察したり、子どもの良い行動を具体的にほめるなどの、親側の小さな積み重ねの練習で、子どもの安心と安全を増すことができます。

愛情は問題じゃありません。親となったからには、知識と練習が必要ってことなんだと思います。

 

その知識をともに教え合うような社会になってほしいと願っています。

父が私に教えてくれたように。

 

●こちらもどうぞ☞【パトナム先生】解離研究の権威の子育てスキル

●でも、犬にかまれたことがあります☞【ケア】と【セラピー】のあいだ

 

ではまた!

サードプレイス

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【パトナム先生】解離研究の権威の子育てスキル

こんにちは。

飯田橋のカウンセリングオフィス、サードプレイスのナカヤマミチです。

 

CARE(Child Adult Relationship Enhancement)という子育てプログラムはシンシナティ子ども病院のトラウマ・トリートメント・トレーニングセンターというところで開発されました。CAREの産みの親であるバーバラ・ボート先生はその開発にあたって、当時シンシナティ大学医学部小児科・精神科の教授だったフランク・W・パトナム先生の存在がとても大きい役割を果たしたと語っています。

パトナム先生は解離の世界的権威であり、その著書『解離―若年期における病理と治療』の中で、解離とは何かという包括的な解説から、病因としての児童虐待と性虐待について明らかにし、多重人格性障害(今は解離性同一性障害といわれます)の診断やその治療までをまとめています。

でも、バーバラ先生がいうには、なによりもパトナム先生のあたたかいお人柄が、彼女が仕事をしていく上で大きな支えや励ましになったそうです。

そしてバーバラ先生は、パトナム先生がどうやってご自分のティーンエイジャーの子どもとCAREスキルを使ってやりとりをしたのか、あるエピソードを教えてくれました。

 

パトナム先生は自分の息子が庭のポストの前に車を駐車することにとても困っていました。ポストの前が車に占領されてしまうので、毎朝新聞を取り出すのに苦労していたのです。

そこで「車を庭の物置の前に停めてくれるかい」と息子に頼みました。それを聞いた息子はこころよく「OK」と返事をしました。

でもティーンエイジャーの子どもがいる人だったり、自分がティーンエイジャーだった頃のことを覚えている人はわかると思いますが、思春期の子どもの「OK」は大抵、そんなに大した意味(少なくともOK:承諾、の意味)は持っていなかったり、上の空での合いの手みたいなものだったりするものです。

世界的な解離の権威のパトナム先生の息子だって例外ではありませんでした。「OK」と返事をしたのにもかかわらず、相変わらずポストの前に駐車をしていました。多くの親ならキレるところかもしれませんがパトナム先生はなにも言いませんでした。

なにも言わずに2週間たち、ある雨の降った翌日のこと、たまたまいつもの息子の駐車場所であるポストの前は盛大にぬかるんでいました。自分の車に泥はねをつけたくなかった息子はいつもよりちょっと遠いところ、まさに物置の前、に車を止めました。

パトナム先生はそれに気が付いて「車を物置の前においてくれてありがとう。おかげでポストから新聞がとりやすくなったよ」と息子をほめました。

それから、何が起きたかというと、ティーンエイジャーの息子は二度とポストの前に車を停めることのないように気を付けるようになり、パトナム先生はといえば、毎朝スムーズにポストから新聞をだせるようになった、ということです。

 

親であったらこんなふうに子どもに関わりたいと思うし、子どもだったらこんなふうに親に関わってほしいと願います。

パトナム先生はまさに子どものよい行動に目を留めて、それを認める(褒める)ことで、子どもの行動を変えることができました。

私たちは子どもを見て、つい直 してほしいと思う行動に目を留めがちです。そしてつい、「何度、ポストの前に駐車しないように言えばいいんだ!」と腹を立てがちです。そして肝心の子どもの行動が変わることはほとんどありません。

本当にちょっとの視点の違いなんですけどね。。。。

 

●パトナム先生の虐待の連鎖への処方☞こちら

 

サードプレイス☞Webページ

 

 

CARE読書療法対人関係

【CARE】子どもと関わるためのスキル、でも脱いだ靴下を洗濯機にいれない夫にも使えます

こんにちは。

飯田橋のカウンセリングオフィス、サードプレイスのナカヤマです。

 

CAREという子育てプログラムがあります。

Child-Adult Relationship Enhancement(子どもと大人の関係を強化する)の頭文字を取って名付けられました。

子どもとのよりよいコミュニケーション構築や適切なしつけのためのエビデンス・ベイスドな心理療法はいくつかあるのですが、CAREはそれらの心理療法のエッセンスをとりいれた(いいとこどり、ともいいます)したプログラムです。

CAREスキルを使うことにより、大人と子どもの関係があたたかいものになる上、子どもの自尊心や自立心が向上し、大人からの指示も気持ちよく聞いてくれることが増えるのです。

そんなすてきなCAREプログラムですが、その主な理論は行動分析学です。したがって基本的にCAREスキルは子どもが望ましい行動をしたらきちんとほめて、その行動を定着させ、増やすという行動分析学にかなった方法をとっています。子育てスキルには子どもの発達年齢に応じたものが多いですが、(例えば幼児さん向け、とかティーンエイジャー向け、とかです)CAREにはその枠がほとんどなく、小さな子どもから大きな子まで使えます。それは、このプログラムで使われているスキルや設定が非常にベーシックなために汎用性が高い、ということなのでしょう。

汎用性、ということでつらつら考えていくと、自立していなくて、人をイラッとさせる行動(望ましくない行動)をとっているのは、なにも子どもに限ったことではないのです。

対人関係での悩みとなりやすいのは、配偶者です。

多くの夫婦が性格の不一致(これも本当の理由ではないことも多いのですが)で離婚の憂き目にあっています。

例えば、ある朝の風景です。

朝起きてリビングに入ると、ソファーにだらしなく座った夫がテレビを眺めています。夫が前日に脱いだ靴下が裏返しのまま床に落ちています。「おいごはんはまだか」と起きてきたばかりのあなたに声をかけますが、昨夜も今朝もまだ歯を磨いていないのか、顔をそむけたくなるような口臭がします。夫はあなたの不快感に気づきもしないで、自分は何一つ動きもせず、ただ座って朝食を待っています。

こんな朝を過ごしていたら、配偶者に殺意さえ覚えても不思議ではありません。こういうことが積もり積もってある日お別れ、となるのです。

 

でもこの朝が以下のように変わったらどうでしょうか。CAREなどの行動分析学のスキルを配偶者に使い続けたらこんな風になるかもしれません。

朝起きてリビングに入ると、もう自分の朝のしたくを終えてこざっぱりした様子の夫がソファーに座ってテレビを眺めています。あなたが寝ている間に、洗濯機を回してくれたようで、洗濯機から脱水の音が聞こえています。「朝ごはん一緒にたべよう」と起きてきたばかりのあなたに声をかけ、食器をテーブルに並べはじめます。あなたが目玉焼きを焼いている間に夫がトースターに入れてくれたパンがいい匂いをしはじめました。

実際は配偶者の性格や特技によってバージョンは変わりますが(例えば掃除をしてくれたり、朝食を作ってくれたり、またはなにもできなくてもあなたにやさしい言葉をかけてくれる、とかです)、大事なのはCAREに代表されるようなごくごくベーシックなスキルを上手に使いつづけることで相手に大きな変化をもたらし、心地よい関係が構築できる可能性があるということです。

 

一方、気を付けたいのは、離婚の三大原因ともいわれている「浮気、ギャンブル、DV」です。これに該当する配偶者にはCAREスキルどころか何をやってもダメなことの方が多く、あなたから大切なエネルギーを奪ってしまいます。あなたの人生のために出来る限り早くこれらの配偶者を見限ることをお勧めします。

 

子どものためのCAREプログラムを配偶者に援用するなんて(いろんな方向から)お叱りを受けるかな、とも思ったのですが、添付した画像の本の著者のカレン・ブライア先生は行動分析学の第一人者で、題名は『うまくやるための強化の法則』、そしてそのサブタイトルは『飼いネコから配偶者まで』です。

上には上がいるってことです。

 

●ほめたい、育てたい、具体的にはこちらもどうぞ!☞【ほめて育てる】【人を動かす】

ではまた。

http://www.office-thirdplace.com/