こんにちは。
飯田橋のカウンセリングルーム、サードプレイスのナカヤマです。
転んで足のひざをすりむいたとき、どのように手当てをしていますか。
ちょっと前には「赤チン」というものがありましたね。
水道水で汚れなどを落としたあと、赤チンをつけることもあるし、他には青いキャップの消毒液をシュシュっとふりかけたりして、ガーゼなどを貼って傷口を保護、乾燥させたものです。
でも今は、消毒液をつけたり、傷口を乾燥させることはせず、そのまま傷口を保護するテープを貼ったり、ラップで覆ったりするとよい、ということが知られています。
「湿潤療法」と呼ぶらしいです。
実は、けがをしたとき、傷口では血小板や好中球、マクロファージが働いて、絶妙なタイミングで様々な「細胞成長因子」が分泌され、これにより細胞が活性化し傷が治る、というメカニズムがわかってきたのですね。
このように傷が自然に治るとはどういうことか、丁寧な観察や研究からわかってきたことで私たちの手当ての方法は変わってきました。
それでは心の傷とか、トラウマ、PTSDと呼ばれるものではどうでしょうか。
なにかとてもショックなことがあった時、それが自分にとって、または周りの人が受け止めきれなかったりするものであった場合に、しばしば治療者もふくめ、人はこのように言うかもしれません。
「すんだことは忘れなさい」
「いつまでも過去にとらわれるべきではない」
「前を向いて」
しかし、PTSDが自然治癒する経過についてはよく研究されていて、そのとき人は過去のショックな出来事について話したり、それについて再び考えたりすること、それをきちんと受け止めてもらえるサポートがあることが、その後の回復に促進的であると知られています。
トラウマについて、思い出したり、話したり、そこからの感情を避けないことや、「世界は危ないところだ」とか「自分は無力だ」といったトラウマからの考え方が、今も実際にそうなのか、腰を据えて考えていくことが、PTSDの回復のための要素であるらしいのです。
すなわち、過去のことは忘れなさい的助言とは逆のことが必要みたいです。
ではまた。
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