サードプレイスピックアップ!複雑性PTSD

【2018年 最も読まれた記事】第3位【複雑性PTSD】スキルのトレーニング

こんにちは。

飯田橋のカウンセリング・オフィス、サードプレイスのナカヤマです。

 

このブログの中では「スキル」という言葉がよく使われています

一方で、人の悩みをスキルで解決しようとするなんて浅はかだと思われるかもしれないという不安みたいなものも常に抱えています。

というのも、私自身がいわゆるスキル的な解決方法に反発を覚えがちがちなメンドクサイ人間であるからです。

自分が相談したことに対して、「ああしてみれば」とか、「こうすればいいじゃない」または、「こういう方法もあるよ」みたいに言われると、教えてもらってありがとうという感謝の念を持つどころか、

「話しはまだ終わってないんだけど」

「問題はそんなことじゃないんだ!」

「そのアドバイスは少なくとも10回はきいたよ」

「そんな簡単な問題じゃないんだけど」

みたいなセリフが内心でどうしても渦巻いてしまうのです。

 

それでもSTAIRの、そしてCAREのスキルがいいですよって伝えているのは、それらにはスキルを超えた普遍的なものがあると感じるからです。普遍的なもの、というのは言ってみれば多くの臨床的な研究に支えられたもの、なのでしょう。

またSTAIRでは、スキルを教わるというよりも、自分で自分のニーズに合わせてスキルを組み立てていくので、今の自分をよりよく理解する、というプロセスが必要です。そのプロセスを通じて、より深く自分の行動や感情、自分自身への考え方の変化が実感できると思います。

 

今日はちょっと言い訳してみました。

そして、今週のピックアップはこちらです!☞【複雑性PTSD】スキルのトレーニング

 

ではまた金曜日に。

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2018年 Pick Up!サードプレイスPE

【2018年ピックアップ 第1週】トラウマからの回復はこのようでありたい

こんにちは。

飯田橋のカウンセリング・オフィス、サードプレイスのナカヤマです。

 

PE(持続エクスポージャー療法)では主に二つの手続きを行います。

一つは自分のトラウマの記憶を言葉にして語ること。

もう一つは、トラウマのことを思い出すために避けていることなどに実際にチャレンジしてみることです。この日常生活でのチャレンジをPEでは「現実エクスポージャー」と呼んで、安全に、かつ首尾よく成功できるようにセラピストと相談しながら行います。

今週のピックアップ記事

【PE】そのネーミングセンスがいかがなものか問題

では、私の牛乳嫌いを克服する過程を、現実エクスポージャーの過程に見立てています。

 

ハーマンは『心的外傷と回復』の中でトラウマの中核は「無力化」と「他者からの離断」と述べていますが、裏を返せば回復の鍵はこれらの反対にある、ということです。

私が牛乳を飲めるようになってエッヘンという気持ちになっていたときに、まさに私は自分が「できた!」と自分に力があるってことを感じていましたし、そこには応援してくれるハタノ先生やタカハシくんがいて、私は一人ではなかったのです。

トラウマからの回復はすべからくこのようでなくては、と思います。

 

それでは、また来週の火曜日に!

 

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【2018年】最後の月のイベント

こんにちは。

飯田橋のカウンセリングオフィス、サードプレイスのナカヤマです。

このブログをはじめて9ヶ月が経ちました(中途半端なご報告ですが)。読んでくださっているみなさまには心から深く御礼申し上げます。

さて、12月は1年最後の月です。そこで、このブログでも最後の月っぽいことをしようと考えました。

カウントダウンです。

12月の火曜日は、この9ヶ月の中で最もよく読まれた3つの記事のカウントダウンをしようと思います。

 

そして、金曜日には直接「面白かった」と言っていただいた記事3つをピックアップしてお届けしたいと思います。

というのも、カウントダウンの記事は圧倒的に複雑性PTSDの記事の一人勝ちとなることが強く予想されるわけでして、「薄味、を標榜しているわりには、なかなか濃ゆいというか、コッテリとしてますね」と以前同じ病院で働いていたソーシャルワーカーさんに(ある意味ごもっともな)ご指摘を受けたものですから、なんとかブログ全体に薄味感を出そうとする苦肉の策なのです。

 

でもそもそもこのアイディア(以前の記事をとりあげてもう一回コメントする)はさくらももこさんのアイディアなのですけどね。ももこさんを偲んで『もものかんづめ』を読んでたら、その本の中で彼女が「その後の話」として、以前ご自身が書いたエッセイにコメントされていたのです。

それを参考にしたというか、パクったというか。。。。

そういえば、以前お伝えした公認心理師試験、合格しました。励ましの言葉をくださった方ありがとうございました。来年、50歳になって尚試験!ってことが避けられて本当によかったです。ホッとしてます・・・・。

●試験前の私☞【試験勉強中】今さら

 

ではまた!

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トラウマ複雑性PTSDPE

【PTSD】と【複雑性PTSD】

こんにちは。

飯田橋のカウンセリングオフィス、サードプレイスのナカヤマです。

今日のハナシはどこから話そうか、でもどこから話しても同じところにもどってきそうなので、どこから話してもいい話となるもかもしれません。それに、このハナシに出てくる人々の話はフィクションでもあります。

 

というのも、DVのことを考えていたからです。

DVとはDomestic Violence(配偶者間暴力)のことで、親密なパートナー関係にある人との間で起こる暴力です。DVは、身体的暴力だけではなく、いわゆるモラハラといった心理的な暴力や、性的な暴力などを含んだ全ての人権侵害を指します。内閣府は平成11年度から男女間における暴力の調査を行っていて、平成29年度も全国20歳以上の男女5000人にその実態を尋ねています。それによると、女性の3人に1人、男性の5人に1人は配偶者から被害を受けたことがあり、そのうち女性の約7人に1人は命の危険を感じた経験があることなどが明らかになっています。

「女性の3人に1人がDV被害者」というのは、変な言い方かもしれませんが、世界的なスタンダードなのです。つまり、日本でも、アメリカでも、ヨーロッパでも、アジアでも、アフリカでも「3人に1人」はDVの被害者であるということが数々の調査で報告されています。

 

ところで、PE(持続エクスポージャー法)というトラウマ焦点化した心理療法があります。

PEでは、一つのトラウマ体験に絞って心理療法を行うことで、最良の治療効果をあげることができるといわれています。つまり、DVなどの長期に何度も繰り返されるような、複雑なトラウマを扱うのには適していない、という指摘も多くされてきました。

 

私のはじめてのPEに協力してくれた患者さんは、ある通り魔事件の被害にあってからPTSDに悩んでいた方でした。事件は恐ろしいものでしたが、幸い彼女は軽傷で済み、また既にその傷も回復し、安定した生活を送っていました。初学者の頃のPEには、このような「シンプルトラウマ」からのPTSDが、先の事情もあって、(言葉は悪いですが)うってつけなのです。

治療は順調に進むはずでしたが、その途中で、彼女は通り魔事件とは別の他のトラウマ記憶に悩まされることになりました。彼女は子どもの頃に、父親から母親へのDVを目撃していたのです。彼女には母親が死んでしまうかもしれないという強い恐怖と無力感がありました。また、通り魔事件の加害者が父親だったのではないか、という疑いがどうしてもぬぐえないのでした(実際、父親は既に鬼籍に入っており、彼女自身が喪主を務めたので、彼女はその疑いが不合理であるということは十分承知していたにもかかわらず、です)。

 

PTSDには、しばしば、子ども時代のトラウマ的記憶からの感情や考えが深く絡みついているものがあります。ある一つのトラウマ的出来事は、以前の人生の記憶を呼びおこすきっかけに過ぎないこともあるのです。

 

PEの2ケース目は交通事故の被害にあった方でした。彼は自転車に乗っていたときに、車に接触されて転倒したのですが、運転していた加害者はそのまま走り去っていってしまいました。いわゆるひき逃げ事件です。彼は自力で病院にたどり着き、治療を求めました。怪我は回復し、仕事にも復帰できましたが、夜になると夢に繰り返し事故のシーンが出てきて、それが彼を苦しめていました。

夢は実際の交通事故よりも凄惨な内容で、事故に遭って、あとに残された彼は手足など身体の一部が損傷したり、なくなるといった恐ろしい内容でした。夢の中で彼は血を流して死の恐怖におののいている、といった状況を繰り返し体験していたのです。

そんな中ではじめたPEでしたが、やはり(というか、もはやなんといえばいいのか)彼の子どもの頃のある日、激しいDVの結果母親が突然家出をして彼の前からいなくなってしまった、という記憶が明らかになったのです。子どもにとってこれは大変に大きな喪失体験であり(母親はその2週間後に帰ってきましたが、当時子どもだった彼にとって、母親がいつか帰ってくるということは知る由もありませんでした)、そのために強く感情にフタがされた状態になってしまいました。彼を悩ませていた夢は、事故のシーンに、いわばその舞台設定を借りて、彼の喪失の感情を再演していたのです。

 

DVは時代や国境を越えてあまねく広がっています。私たちはそれを避けては通れないし、またそれがある限り、トラウマは複雑になります。一見、一つのトラウマ的な記憶に悩まされているようにみえても、その背景にはいろんな形でDVが影響していることは少なくありません。DVはPTSDと複雑性PTSDを隔てる境をなくすものです。

 

私がこんなにムキになっている(今日のブログの文字数の多さときたら!)のも、一つは私が女性だからということに他なりません。仮に子ども時代にDVの家庭ではなかった、というラッキーな境遇を経てオトナになっても、そのあと自分がDVの被害者になる確率が3人に1人とは、これってあまりにもひどすぎる状況じゃあないでしょうか・・・・。

 

●「PTSDと複雑性PTSDに違いなどない」と言われた☞【複雑性PTSD】究極的な回復の手段

●PEについて☞【PE】そのネーミングセンスがいかがなものか問題

 

こちらもどうぞ!

●そもそもPTSDについて☞【PTSD症状】PTSDの症状についてさくっと説明します

●そもそも複雑性PTSDについて☞【複雑性PTSD】診断がつく、ということは治療法があるということです

 

ではまた!

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トラウマナラティブ・エクスポージャー・セラピー(NET)複雑性PTSD心理療法

【ナラティブ・エクスポージャー・セラピー】脳ミソを味方につける

こんにちは。

飯田橋のカウンセリングオフィス、サードプレイスのナカヤマです。

 

ナラティブ・エクスポージャー・セラピー(NET)はトラウマ焦点化心理療法のひとつです。NETはヨーロッパ、特にドイツを中心に,トラウマ性ストレスやPTSDへの強力な「短期療法」として認められているものです。例えばコソボ,スリランカ,ウガンダ,ソマリランドなどの国々で長期にわたって戦争や内戦、それに伴う性犯罪など、生活史上に多数のトラウマ的出来事を経験しながらドイツに渡ってきた人々のトラウマケアは急務となるものですが、難民特有の生活の不安定さから従来のような継続的介入を受けることが困難という状況でもありました。

「短期」でトラウマに介入する、ということが特に難民の支援のために欠かせない要件でもあったのです。

NETはウガンダとドイツでの綿密な臨床試験を経て、3回~6回の治療セッションで、一定程度の症状低減がもたらされることが実証されています。比較的短期間で終わるPEでも(すごくうまくいっても)8回~10回は必要だし、大抵の構造化された心理療法は15回くらいで1クールとなっています。その中で、3回~6回というはおどろくべき超特急なのです。

 

トラウマの治療でなぜこのような短期の治療が可能になるのか、実際にNETのワークショップに参加して学んできたのは去年の6月のことでした。

講師だったドイツ人のClaudia Catani先生が提示した難民の体験は凄まじいものがありました。目の前で家族や知人が殺されたり、自分自身が殺されかけたり、重傷を負ったり、性的な虐待にあったり、または誘拐されて加害行為に加担させられたりした人々です。

NETではまずはじめに、患者さんの人生を象徴するもの、として紐(ロープ)を用意し、それを長く伸ばし、その線上に花(ポジティブな体験)と石(トラウマ的な体験)を自ら配置して、それぞれのエピソードについて語ってもらいます。患者さんはセラピストと語りを共有する中で、人生には楽しいこと(花)も悲しいこと(石)も同じ連続線上に共存していることを視覚的にも理解していきます。

心理教育では、トラウマが身体や心に与える影響や症状についてしっかりと学んでいきます。心理教育とは、患者さんが専門家と同等かそれ以上の、トラウマに関する症状やそれを取り巻く社会的状況などの幅広い知識が得られるようにするものです。PTSDやトラウマにまつわる様々な知見は、ここ10年以上にわたって更に積み上げられて、より明らかになりました。NETではその恩恵があますところなく、患者さんに与えられるのです。

実は、心理教育は他のどのトラウマ焦点化心理療法においても重要な構成要素となっています。トラウマ治療では認知再構成やエクスポージャーなどいわゆる「セラピーっぽい」要素にスポットライトが集まりがちですが、心理教育を通して、頭で自分自身を理解することや疾患について学ぶことは、回復に大きな助けになっています。

現に、NETの治療成績をみると、「セラピーっぽい」ことをあまりしなくても、心理教育だけでも相当に症状が改善されることが見て取れます。正しい知識は本来は健康なココロをサポートするようにできているのです。

 

実はこの『薄味の日記』も、大きなくくりでいうと心理教育の一つのつもりで書いています。そこまで言うとちょっぴり恥ずかしい感じもしますが。

 

●ナラティブエクスポージャーセラピー体験☞【ケア】と【セラピー】のあいだ

●トラウマ焦点化心理療法☞【トラウマ焦点化心理療法】少々ご紹介

●トラウマ焦点化心理療法、もっと☞【複雑性PTSD】診断がつく、ということは治療法があるということです

●心理教育も大事だけど呼吸法も大事だよ☞【トラウマと呼吸】身体を気持ちにフィードバックする

 

ではまた!

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